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中国アカシア蜂蜜視察紀行(5)《連立する古びた蜂蜜専門店》

《連立する古びた蜂蜜専門店》

リュウさんに連れられて一歩街へ足を踏み出せば、
「ここは東京か?」
と思わせるほどの人の多さに驚く。

ホテルを出たすぐのところに雑貨を売るテント型の屋台があった。
そこではちぶんはライターを購入しようとすると、リュウさんが
「お金はいいから、いいから(中国語)」
と言って買ってくれ、おまけに小雨が降っていたから全員分の折り畳み式の傘まで買ってくれた。
お客さんにお金を使わせまいとする心遣いはどうやら万国共通のようだ。

激しい車のエンジン音にクラクションがあちこちで響き、そこらじゅうで行われている工事現場の音、音、音。
西安の街の第一印象は、

すこぶる元気な街―――

である。

更に驚いたのは4車線もあるような広い道路の交差点に、

「信号機がない!」

道路を横断する人々は、車が来ようがバスが来ようが思い思いに道路を横断している。

ファイル 626-1.jpg

大きな病院やデパートもあり、車の中から見た西安をより身近に感じながら歩いていると、なんとこの異国の街にも
『セブンイレブン』があるではないか!

オレンジと緑のイメージカラー、
あれは日本でおなじみのセブンイレブンだ!

ファイル 626-2.jpg

「日本の企業もがんばっているなあ……」

と感心しながら近くに来ると、なにやらストライプの間隔など微妙に違うことに気付く。
そしてお店の名前が違うのが決定的で、それはセブンイレブンまがいの店だった。

コピー文化とも揶揄される中国である。
標章や著作権などにめちゃめちゃ無頓着な中国人の性質はどこからきたものか?

いずれにせよ騙されないように注意しなければ!

『東大街』―――。

ノッポさんによればここは西安一の繁華街だそうだ。
そう、そしてここ西安の街は、日本の京都のように碁盤目の道路でできている。

というより京都の街が長安の街づくりに習ってできたのだ。

長い歴史の中でいろいろあったにせよ、漢字文化も仏教文化も儒教的思想やその他の風習も、始まりはみな中国から学んだことであることを考えれば、いわば中国は日本にとって大恩の国なのだ。
現在両国の政治的問題も山積するが、それはそれとして日本人はその大恩だけはけっして忘れてはならない

と思う。
でなければ日本は忘恩の国になるだろう。

そうこうしながら『天源蜂業』という蜂蜜専門店に到着した。

ファイル 626-3.jpg

店の看板はやや立派だが、中は装飾もない木の棚に蜂蜜や花粉や養蜂具が整然と並べられているだけの小さな店である。

よく見ればプロポリスやローヤルゼリーも置いてあるようだが、漢字で書かれていて読めない。

ファイル 626-4.jpg

ケンちゃん社長はさっそく店舗に入って商品のいくつかを手にしていたが、特に興味を持ったのは日本にはない形状をした養蜂具の数々で、ノッポさんを捕まえて店主からいろいろ話を引き出していた。

その様子を写真に収める―――
それがはちぶんが今回同行した最大の目的である。

ファイル 626-5.jpg

日本では見かけない巣枠が2枚入る縦1メートルほどの細長い手動式の遠心分離機を見つけた。

中国では一般的に使われているもので、社長が
「これ、日本に持ち帰れないかな?」
と冗談を言うと、真に受けて考え込んでしまうノッポさんは根っからのお人よしだった。

さしたる発見もなく、続いて通りをレンガ壁で隔てた歩道沿いに、さびれた蜂蜜店が5、6軒立ち並ぶ場所に訪れた。
いずれも店先には壊れそうな机が置かれ、上に数種類の蜂蜜が並べられていた。

聞けばどれも完熟蜜でなく、それらは濃縮蜜や加糖蜂蜜などで、中国の蜂蜜消費事情はまだまだ発展途上にあることが歴然としていた。

総一郎さんの話によれば、
「中国にも昔から蜂蜜はあるが、その用途は主に漢方薬としてでした」
とのこと。
やはり蜂蜜の本場は西洋で、日本や中国などの東洋ではあまり一般的でなかったそうだ。
このように店頭で蜂蜜が売られるようになったのはごく最近のことなのだろう。

日本の蜂蜜屋と大きく違う点は花粉の扱いが多いことで、漢方の本場中国における特徴のひとつなのだろうが、思えば漢方薬の店はすこぶる多い。

それより気になるのは歩道と道路の境に立っている人の背よりも高い赤レンガの壁で、レンガとレンガとはただ土で固められているだけなのだ。

これで地震でもあったら人はレンガの下敷きになるに違いない。

そんな心配もいらないほど、西安には地震がないのだそうだ。
来る途中に見た建設途中の高層マンションも簡素な造りに見えたのも、もしかしたらそのせいかも知れない。

それにしたって万一地震が発生したならば、この街は大惨事になることは目に見える。
教えてあげたいが一介の旅行客の立場では相手にもされない。
地震がないことを祈るばかりだ。

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