ローヤルゼリーといえば、若返りの作用があると考えられていますが、ヨーロッパにローヤルゼリーブームがおこった頃、フランスにこんな小噺が生まれました。
『ピエールという独身の船乗りがおりました。
彼は年老いた両親と三人暮らし。
あるとき遠洋航海でアメリカへ渡り、1ビンのローヤルゼリーを買って帰りました。
そして老いた父母にこう言います。
「これは若返りの大切なクスリですから、僕が帰って来るまで手をつけないで下さいね」
そうしてピエールは、再び遠洋航海の旅に出たのでした。
さて、ピエールが航海を終えて家に帰って来ると、中から二十歳くらいの美しい娘が、赤ん坊を抱いて「おかえりなさい」と、笑顔で彼を迎えました。
ピエールはドギマギして、恐る恐る、
「一体、あなたは誰ですか?」
と聞きました。
すると美しい娘はこう言います。
「私はあなたのお母さんですよ」
と。
驚いたピエールは訳を訊ねると、
「あなたが置いていったローヤルゼリーを飲んだら、こんなに若くなってしまったのよ」
と答えます。
「では、この赤ん坊は?」
重ねて訊ねると、母親と名乗った美しい娘は、
「あなたのお父さんですよ」
と言いました。
ピエールは前に家を出るとき置いていった、ローヤルゼリーの若返り効果をうすうす思い浮かべながら、母親の次の言葉を聞きました。
「お父さんたら、欲ばってローヤルゼリーを飲みすぎてしまったの」』
ジャン、ジャン!(笑)
とまあ、ローヤルゼリーの若返り効果をアピールするには、ずいぶんと大げさな物語ですが、ヨーロッパにおけるローヤルゼリーの存在は、それほどの衝撃があったのでしょう。