むか~しむかしのことじゃった。
その年の夏は猛暑で雨が一滴も降らず、沼の水も川の水もすかっり枯れてしまいました。
仲良しの山鳩と蜂は、水を求めてあちこち探しまわりましたが、井戸の水も枯れていて、ついに蜂が倒れてしまいました。
そうして、やっと、残りわずかな水を持っていた一人の村人のところにたどりつきました。
「どうか一滴でいいので、水を恵んでください……」
と山鳩は村人に頼みました。
しかしその水を与えてしまえば、自分の分がなくなってしまう村人は固く断りました。
しかし、
「おらはいらねえから、どうかこの死にそうな蜂さんに分けてやってください」
と山鳩は必死に言いました。
すると、自分より友だちを心配する山鳩を見て村人は感心し、
「死ぬまでにひとつくらい良いことをせんとなあ」
と、わずかの水を二人に分けてあげました。
それから何日かして、ようやく待望の雨が降りました―――。
翌年は、昨年の干ばつが嘘のように、作物がよく育ちました。
ところが害虫が大発生。村人たちはほとほと困り果てておりました。
そんなとき、突然空に蜂と山鳩の大群が現れて、畑に舞い降りたのです。
見れば山鳩がくちばしでつつき、蜂は針で刺して畑の害虫を退治しているではありませんか。
「あれは、あのときの山鳩と蜂じゃないか!」
と村人が言いました。
こうして畑は肥え、お百姓さんたちは大助かりじゃった。
おかげで作物はよく取れ、豊作が続いたそうな。
0401 山鳩と蜂の恩がえし 投稿者 nihonnotakara1980