ミツバチと共に90年――

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日本むかし話『夢のハチ』

今日は山形県のむかし話で、『夢のハチ』という物語をご紹介したいと思います。

『むかしむかし、あるところに二人の男がおりました。
二人はいつも、山へ草刈りに行って働いていました。

ある日のことです。二人は一生懸命働いて、やがて太陽も真上に来たので昼休みにしました。
ところが一人の男はすぐに鼾をかいて寝てしまいました。

すると、その男は鼻をクンクン、クンクンさせたかと思うと、鼻の穴から一匹のミツバチが出て来て、どこかへ飛んで行きました。

しばらくすると、ミツバチはどこへ行って来たものやら、再び飛んで戻ってきて、男の鼻の中へチョロチョロと入っていきました。
その様子を見ていたもうひとりの男は、ミツバチが寝ていた男の魂に見えました。

すると男は、ムニャムニャと言いながら起き上りました。
そして、
「君、君、いま何か夢を見なかったかい?」
と聞きました。すると寝ていた男は、
「おら、生まれてはじめてあんな素晴らしい夢を見た」
と言いました。
「どんな夢だい?」

「あるところへずっと行ったら、大きな川があって、そこを渡ると丘があり、そこには真っ白い椿が咲いて、下を見ると洞窟で、入ってみると素晴らしい鍾乳洞があって、金のつららがさがっている。驚いたことにあたりは全部山吹色の金だらけなのさ!」

すると話を聞いていた男はそこそこに聞いて、草をぶちまけて目の色を変えて走り出しました。

そして教えられた通りの道順で、東へ西へ、川を渡って、丘に咲く白い椿をみつけ、そして洞窟と、ずっとたどって行くと、やっぱり目の覚めるような夢の話と同じ金がありました。
男は大喜びでそれをもぎとって売り、一躍、そこら界隈の大金持ちになりました。

ところが夢を見た本人は、どうして相手があんなに大金持ちになったか不思議でたまりません。

そして、ふと思い出したのが、あのときの夢でした。
「ああ、あいつはあの昼寝のときの話のとおりに行ったに違いない。よし、おれも行ってみよう!」
と、仕事を終えると夢の記憶をたどって行ってみました。大きな川を渡って、丘に咲く真っ白い椿の下……、すると、洞窟の中は前よりも大きく、まばゆいばかりの黄金も以前の何倍もありました。

そして、それを売って彼も大金持ちになりましたが、前の男は働きもせずあまりいちどきにお金が入ったので、栄耀栄華もつかの間、身持ちを崩していつしか没落していました。
そしてほんとうに夢を見た男は、大切なお宝を貧しい人たちに分け与えたり、村に道路を作ったりして有意義に使い、後々まで〝夢の蜂のお大臣〟と言われたそうです。』

二人とも大金を手にしたのに、使い方ひとつで結末は大きく違ったものになるんですネ。

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