ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

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「十訓抄」の「蜂の報恩」というお話

鎌倉中期に編纂された説話集「十訓抄」に、「蜂の報恩」というお話が出てきます。
物語は中納言和田麻呂という人の子孫で、余吾大夫という武士が主人公です。

ある日、敵に城を落とされ、家臣もほとんど殺されてしまいます。
命からがら逃げた余吾大夫は、山寺の岩屋で、蜘蛛の巣にかかった蜂を助けます。

その晩、余吾大夫の夢に水干袴の男が現れて言いました。
「私は蜘蛛の網に絡まれていた蜂でございます。恩返しにあなたの敵をほろぼしてみせましょう」
しかし家臣も殺され、軍資金もない余吾大夫には勝算がありません。
しかし男に化けた蜂は言いました。
「あなたの生き残っている家来を2、30人ぐらい集めてください。この山には私の味方の蜂がおりますので、あなたに加勢いたしましょう。決戦の日にはあなたの家来たちを仮の陣地に潜ませ、このあたりには来ないでください」
と、水干袴の男が去った瞬間、余吾大夫は夢から覚めます。

にわかには信じられませんでしたが、余吾大夫は言われたとおりにしました。
やがて仮の陣地に集まってきた家臣たちは50名くらいになりました。

そして決戦の朝になると、山から蜂が群れをなしてやってきたのです。
余吾大夫は敵に使者を送りました。

追跡していた余吾大夫をみつけた敵は大喜び、300騎ほどの家来を従えて出陣します。
勢力は50対300、敵は余吾大夫をあなどり、はやばやに決着をつけようと攻め込んだ時です。
すさまじい数の蜂が雲のごとく集まって、敵兵の目や鼻、動くところをところかまわず刺して攻撃をはじめました。
それはあっというま、敵はどうにもならず散り散りに退散してしまいました。

そうして余吾大夫は、自分の領地に戻ることができました。
そして、この戦いで死んだわずかな蜂たちのために堂を建て、蜂の命日には毎年供養を欠かさなかったということです。

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